2019年10月11日金曜日

研修9日目 2019.10.9

 Hej! Det är molnigt idag.(今日は曇りです。)
施設に向かう途中に「nypon(ニーポン、野ばらの実)」発見!

 今日は、3Fユニットでの遅番業務です。前回と同じように職員の流れおよび入居者様の今日の様子をお伝えできれば良いかなと思います。今日はエミルさんが来る日でもあります。事前に山下さんと話し合って、色々と聞いていきたいと思います。
 11:45 遅番業務開始。ミットラさんも一緒に出勤。ミットラさんは私に英語で説明してくれることはありますが、時々スウェーデン語で説明されることがあり、苦労する場面もあります(汗)。でも明るくて良い方です。早番のカタリーナさんとインゲヤードさんと合流します。その時にT様がダイニングに半袖・半ズボンの状態で来られました。寒くはないのかなと気になりました。
昼食(野菜炒めみたいなもの、サラダ、マッシュドポテト)

 12:00 昼食開始。途中レナさんが来られて、M様とT様とV様とミットラさんと一緒にダイニングにて召し上がりました。この時、インゲヤードさんはR様の居室へ、カタリーナさんはL様の居室へ、食事を持って入りました。L様は12時~15時の間、落ち着かないみたいで、ダイニングではなく居室で職員と一緒に話しながらご自身で召し上がるそうです。
 12:30 ミットラさんと一緒に、Z様のベッド臥床介助に1Fの居室へと誘導します。ミットラさんがZ様の誘導前に、職員間での「サイン」を出し合っていました。入居者様のプライバシーを配慮しているなと伺えます。ここでZ様は3Fユニット内にある居室ではなく、1Fの居室に住まれています。よって、2FユニットではY様、3FユニットではZ様が住まれています。
1Fの様子
 

 居室に着き移乗リフトを使ってベッドに移乗しました。そしてパットを確認しますが、出ていなかったので排泄介助は実施せず、そのまま退室しました。次にV様のベッド臥床介助を行いました。この時ミットラさんが私に手引き歩行の手伝いをしてほしいとのことで、車椅子からベッドへの移乗介助を行いました。臥床して靴を脱がして床に置こうと思いましたが、ミットラさんが取り上げられて、出窓の所に置きました。感染予防の一種かと思われます。


4Fのミーティングルーム

 13:00 エミルさんが来所されました。3F事務室にてエミルさんと山下さんと3人だけで話し合ってから、レナさんとエヴァさんと4Fのミーティングルームみたいな所で話し合いました。色々な質問をしましたが、その中で私が質問したことをお伝えしようと思います。

Q:1Fと2Fにそれぞれ1台の移乗リフトがあるが、それは施設の物なのか?
A:移乗リフトは施設のものであり、OTが提供していて、コストは市や県が払っているとのことでかかっていないとのことでした。この時にエミルさんは「どうして移乗リフトを導入しないのかな? 職員がやめてしまうのは、こういう移乗リフトがないのではないのかな?」と聞かれて、日本の現場ではボディメカニクスで身体を使って1人または2人で移乗介助を行っている施設が多いと思われますが、その一方でスウェーデンでは、こういう移乗リフトがないと、労働環境法に違反するという決まりがあり、結構労働組合の勢力が強いらしく法律が厳しいそうです。
移乗リフト

Q:施設の職員の配置について
A:今回の研修先では、レナさんが介護職員の中での上長で、ここの理念と方向性を職員に伝えていて、月に1回職員と話し合いをしているそうです。また研修や講演会を受けたりもしていて、最近ではメンタルケアについての研修を受けていたそうです。看護師については、ここでは正看護師のカタリーナさん(シナモンロールを大量に持ってきてくださった方)だけです。作業療法士(OT)はいなくて、外部から来て下さっているとのことですが、ここでは長い間福祉器具に使い慣れているのであまりOTには依頼していないみたいです。ちなみにここには用務員もいます。

Q:今回の研修先では、2Fと3Fともにダイニングやキッチンにて穏やかに過ごされていて、職員もお茶をしながら寛ぐ場面を何度も見受けられましたが、ターミナルケアについて職員がどう考えて、どう行動しているのか?
A:エミルさんによると、ある入居者様が状態が落ちてきてベッド寝る時間が増えてきたときに、介護職員・正看護師・医師と一緒に話し合い、プランを作成していくとのことです。そして数時間ごとに痛みを計測したり(痛みの基準値があるそうです)、口の渇き具合を計ったりしていて、また褥瘡にならないようにOTさんと一緒に話し合いをしているとのことです。またそれ以外の介護職員の動き(コミュニケーションとか)はどうなっているか?と伺うと、その看取りのケアプランを皆で共有して時間ごとに書かれているみたいです。そのケアプランを見せてほしいと提案し、来週の木曜日には見せて下さるとレナさんが仰ってくださいました。

 その他山下さんと一緒に色々な質問をし、色々な提案もしました。それらの提案はいずれもレナさんが引き受けて下さり、増々楽しみが増えてきました!気づけば15:00前となったので、エミルさんにより終わりの合図が出て、今回はこれにて終了来週の木曜日にまたエミルさんが来て下さるとのことです。
いつも違う雰囲気

 15:00 フィーカ開始。今日は何か雰囲気が違います。レナさんによると、毎週の水・土・日は「Fine Coffee Day」という特別な日であるので、白いテーブルクロスを敷いたり、いつも違うカップを使ったりしているそうです。これはこれで雰囲気が良くて良いです!この時、L様があまり落ち着かなくて、今日出たリンゴケーキをもう1個食べようとされることがあり、カタリーナさんが「Nej!」と伝えてその大皿を取り上げて他入居者様に提供していましたが、あまり収まらずリンゴケーキを提供しました。
あの重厚感のある物の中からコーヒーカップ等を取り出したとのこと。

 15:30 L様は職員と一緒に施設近くの郵便ボックスに行って戻って来られるも、落ち着かず。頓用薬を内服し、リビングにて過ごされました。しかしあまり落ち着かず、カタリーナさん、ミットラさん、そしてレナさんが対応に入り、結局L様はミットラさんと一緒に散歩に出かけられました。後にレナさんから「カタリーナさんが退勤でバスで帰ろうとしていたら、L様も一緒に帰りたいと仰っていた。」とのことでした。スウェーデンでも、こんな大変な場面もあるんだなと、ふと感じました。
 15:45 マリータさんが遅くに出勤。カタリーナさんやレナさんとコミュニケーションをとられています。
V様のニット帽。離床時にかぶっているとのこと。

 16:10 L様とミットラさんが戻られました。落ち着いた様子でありました。ミットラさんとマリータさんと情報共有および夕食準備の確認を行っていました。マリータさんが、リビングにいらっしゃったV様の爪が伸びているのを見て、爪切りを実施されていました。結構手を動かすことがありますが、ゆっくりと爪を切られていました。またV様が「そんなに切らなくていいよ。」と仰ることもありました。V様も落ち着かない時もあるみたいで、車椅子上で体を揺らしたり、右脛をかいたりをされています。
 16;:45 その落ち着きが見られないので、頓用薬を内服しました。その後ご本人様がTVを見て頂くよう配置し、両手や右脛に皮膚クリームを塗布したりと緩和して頂くようやっておられましたが、結局あまり落ち着かず。またV様のタクティールケアをやってもいいのではないか?とレナさんが言ってくださってはいたのですが、手や足をかなり動かされるので、ちょっと難しいかなと思いました。また様子を見て、できそうならやってみたいと思います。
 17:00 T様がダイニングに来られました。この時も半袖・半ズボンの姿で来られました。今回初めてT様と会話をしました。英語も話せて理解してくださっているので、ある程度理解できたかなと思います。T様はストックホルムの南部に住んでいる方みたいで、フットボールが好きだとのことでした。そして最後に「あなたの方が英語がうまいよ。」とやさしく声をかけてくださいました。
夕食(グラタン(チキン、パスタ、チーズ、豚肉)、サラダ)

 17:30 夕食開始。夕食中、T様が強くむせ込む場面が見られました。多分勢いよく召し上がれていたかと思われます。ダイニングにて食事をとっているときに、R様の居室からむせ込みの音が聞こえてミットラさんが様子を伺っていました。ダイニングとR様の居室との距離がすぐなので、行きやすいなと感じました。
 18:00 マリータさんと一緒にZ様のオヤスミケアに入りました。移乗リフトを使って車椅子からベッドへの移乗介助実施。寝間着への更衣介助を実施していましたが、青い短めの薄いワンピース(?)を使っていました。パジャマというものはないのでしょうか?と思いました。そして排泄介助を実施し、ギャッチアップして口腔ケアを実施しました。そしてギャッチダウンし、ある程度薄暗くして退室しました。
 18:20 R様の排泄介助に入りました。この時はマリータさんとミットラさん2人で行っていました。この前見学したときはすごく興奮されていましたが、今日は穏やかですんなりとズボンとリハパンを交換していました。ここで履いていたズボンを洗濯に出しますが、衣類はR様の物ではなく、施設の物だそうです。ん・・・?と思い、後日また確認しようかなと思います。
 18:30 T様の居室へ訪室。マリータさんがT様に排泄の声かけをしていたが、T様は自分でやったと仰り、マリータさんが確認すると、「bra!(良いね!)」と確認していました。妻と電話したいとのことで、施設の(?)PHSを渡して電話をされていました。後にご自身から返却されました。
 19:00 V様のオヤスミケアをマリータさんとミットラさんが入りました。この方も寝間着は短い薄めのワンピースを着ていました。
 19:15 マリータさんは今日回収した洗濯物を1Fのランドリー室に運び洗濯物を入れていました。そして3Fの事務室で今日の記録をパソコンで打ち込んでいました。

左図:ランドリー室。中:事務室。右:記録に使うソフト(「ほのぼの」ソフトみたいなもの)
打ち込みが終わって、リビングにて職員間で会話をして、退勤時間になって終了。今日はエミルさんが来て色々と質問もして、山下さんとともに解消できたかなと思います。ただまだどこかで気になる部分があるかもしれませんので、明日からも五感を使って色々と聞いてみたいと思います。
 ちなみに帰りは、マリータさんが車で施設から最寄りの駅まで送ってくれました!
 Tack så mycket(ありがとう)!
吉見


山下です。
施設研修5日目になりました。今日はコーディネーターのエミルさんが来てくれました。
私たちは何を質問しようか、あらかじめ考えて臨みました。今日のミーティングに参加してくれたのはのエミルさん、SIÖBERGA GÅRDからはリーダーのレナさん、エバさん、吉見くん、そして私の5名です。

Q:移民問題について。移民の方にスウェーデンの国民の税金で住居や生活費をまかなっていると聞いていますが、実際どうなのか。スウェーデンの若者の失業者から反対の声など上がらないのか。
A:スウェーデンで早く働けるようにするために税金を使う。そして、仕事に就いたら税金を払って返してもらうという考えがある。
移民政策は優しすぎるという声が上がっている。移民は悪い事ばかりするというトランプ派も多く、以前に比べると厳しくなっている。
SIÖBERGA GÅRDでも半分ぐらいが移民の方でルーマニア、イラン、イラク、チリ、エストニア・・近いうちに日本人も入る(笑)。
やはり、SIÖBERGA GÅRDでは言語・文化の問題があってスウェーデン語が出来ない人は雇わない。雇用した場合は、読み書き、介護の教育が大事。

Q:認知症の人にとって大切なことは何か。
A:ルーティン(決まりきった手順)。
例えば、L様の場合、就寝前に不安になる。不安になる前に落ちつかせることが大切。午後はゆっくり部屋で過ごしてもらい、散歩に行く。散歩をし過ぎると興奮することもわかっている。
就寝時は重いブランケットを掛けると彼は落ち着く。
それらは全部ケアプランにのっている。

Q:コンタクトパーソンの役割。
A:コンタクトパーソンは1人の入居者様に対して、2人の職員が担当する。
家族への連絡、髪の毛を切るとき、服を買う時などお金管理のことも話す。

Q:ケアプランについて。
A:ケアプランはコミュー。ただし、現場のことが一番わかっている介護福祉士が細かく作る。正看護師は医療面とオムツ、作業療法士は福祉用具、介護福祉士はアクティブを担当。新しく入居した方は、最低2週間様子を見てから作成する。新規は変更の可能性が多いから3か月、あとは6か月ごとにフォロー。
実際に来週、ケアプランを見せてあげるよ。1週間ぐらい仕事をすれば、ケアプランの内容がわかるでしょ。新しいスタッフもそうしていると。

Q:介護リーダーの役割。
理念「入居者一人一人の尊厳を尊重し、プロフィッショナルで質の高い介護を提供することを目的としている。入居者が自立して生活することを前提として、介助を行う。」
(初日にSIÖBERGA GÅRDでは理念がないとお伝えしましたが、しっかりと存在していました。
理念に基づいて、同じ方向に行くように教育することが大切。月に1回MTをして、問題点、解決方法を考える。
私たちの仕事はメンタルケアが必要。最近では、職員のエナジー(エネルギー)が落ちたらとうしたらいいか等、研修も受けている。
仕事は仕事、家は家。別けることが大事。

コーディネーターのエミルさんから見ても、SIÖBERGA GÅRDは高齢者施設の中でトップなのでここを選んだと言っていました。
まさにその通りです。リーダーのレナさんを筆頭に職員のみなさんは自信を持って働ているのを感じます。
最後にエバさんに「上手く伝えられないけど、いつもMAYUMIのことを考えているよ。」と言ってもらえ、とてもうれしかったです。本当にありがとうございます!

夜のリビングの雰囲気もステキです。
 



今日のフィーカは特別です。毎週水曜日はお酒が提供されるそうです。
E様はバナナにウイスキーを飲んでいました。
ま~、なんてステキは組み合わせでしょう(笑)

そして、私はB様の足のタクティールケアをすることになりました。B様はアルコール性認知症。普段あまり耳にしませんが、アルコールを多量に飲むことによって発症する認知症です。B様は人のモノを持って行ってしまうという症状があります。
タクティールケアをお願いすると、快く受けてくれました。実施中はテレビを観ながらリラックスされていて、終了時お礼を言うと、「Very Nice!」とお言葉をもらい安心しました。ケアする私も「癒し」を実感できる時間でした。
タクティールケアが言葉に代わるコミュニケーションになりますように。
明日も頑張ります!

今日という日にも、感謝して。
山下



3 件のコメント:

  1. 山下さん、吉見さん

    お疲れ様です。
    定期的な振り返りと今後の研修目標について話し合う事は今後の研修を行っていく上で相互理解が出来ていいですね。羨ましい!

    山下さんのルーティンの話ですが、前頭側頭葉型認知症は「常同行動」というのが見えると思います。そのためルーティン化療法というものを取り入れている介護施設も日本にあります。
    職員がルーティンを意識していることは、スウェーデンでの症状のコントロールにあたることですかね。

    前頭側頭葉型認知症、レビー小体型認知症、アルコール型認知症を持つ方へ対する環境への配慮や(建物の中にあるように思います)、職員がその人の症状に合ったケアを意識的に行っていることがさすがと思われます。
    羨ましい! ぜひ、私も話し合いに加わりたい!

    これからも体調に気を付けて、わくわくを楽しんでください。


    きはち 小島


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    1. 小島さん、コメントありがとうございます!
      「ルーティン化療法」は私にとって初めて知りました。
      前頭側頭葉型認知症、レビー小体型認知症、アルコール性認知症を持っている方へのハード面やソフト面に配慮したケアを提供していると思います。
      今後の研修の中で、そこらへんも観察して、どういう風な対応しているのかを聞いていきたいと思います!
      吉見

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    2. 小島さん、コメントありがとうございます。
      私も「ルーチン化療法」とは初めて耳にします。ネットで検索したところ、「毎日同じ時刻に同じ行動をとる」「同じ食べ物、特に甘いものにこだわる」言動が現れるとありました。=「常道行動」。確かにそういう症状の方がいらっしゃいます。大きなヒントをありがとうございます。研修中に症状にあったケアが出来るように考えて行動していこうと思います。
      山下

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