研修16日目 2019.10.16

　Hej! Idag är nattskift.(今日は夜勤です。)

夜のSJÖBERGA GÅRD

前回のブログで説明した通り、今日は夜勤の研修を受けました。
　なぜかというと・・・、お察ししている方もいらっしゃると思いますが、そう！ワンちゃんがいるからです！　実際日本ではあり得ないワンちゃんがいるときに、どういう対応しているのか？入居者様がどう反応するのか？ 夜中の職員の動きおよび入居者様の様子を見ながら、ワンちゃんのいる夜勤の様子も見てみたいと思い、夜勤の研修を受けることになりました！　今日は2FがAdinaさん(ワンちゃんを飼っている職員)、3FがAnnaさんになります。山下さんと話し合い、2時を目途にフロアチェンジをすることにし、私は最初に3Fユニットに入りました。
　20:35　リビングにて遅番職員からの申し送りを聞き、遅番職員が退勤されました。その後、Annaさんは各居室に訪室してお話をして、必要に応じて排泄の確認や室温の確認等をされていました。
　M様に関しては、よく「TVを見ることが楽しみ」であって、TVを大音量にして見られることがあるそうです。職員によって0時にTVを消す方がいるみたいですが、そうなるとM様が怒ってしまうとのことです。「M様の楽しみ・尊厳を傷つけてはならない。」とAnnaさんから説明がありました。
　T様に関しては夜間帯はご自身で排泄交換ができている方だそうです。ただ職員が確認することはあります。
　V様に関しては、寝ている時に何かの音で起こしてしまうと激しい体動が見られるそうで、音を立てすに慎重に行っているそうです。この時は室温確認したり、かけ布団を直したり、枕の位置を直したりされていました。
　R様に関しては、日中と同様、興奮して暴力的になられることがあるみたいなので、気を付けてケアをしているとのことです。この日は咳込みをしていたり、独り言を発していた様子が見受けられました。後にAnnaさんがそのことについて記録を打っていました。

　21:00　ケーキ作り！　これまでのブログの中でFIKAの際に「ケーキ」が出ることがありましたが、それを作っているのが大体夜勤の職員であることがわかりました！Anneさんの説明を聞くと、週に２回(毎週の火曜日と土曜日)にケーキを作って、その作った翌日のFIKAに提供しています。「Fine Coffee Day」の曜日に合わせている感じですね。その日のスタッフ・材料(材料の調達はネンネさんが担当している)によって、チョコレートコーヒーケーキやリンゴケーキ等を作っているとのことです。味は職員の出来による・・・(笑)。この日はチョコレートコーヒーケーキを作りました。作っている最中にL様が頻回にキッチンに来て「バナナを食べたい」とか「リンゴを食べたい」等と仰っていました。でもAnnaさんは、提供してしまうとお腹が膨れてしまうとのことで果物等を提供していないと厳しくやらなければいけないとのことです。

左：作っている最中にL様と会話をされている様子。

右：私もケーキ作りのお手伝いをしました！

 　22:00　生地を作ってオーブンで焼いている間に、L様の眠前薬の内服をするため訪室しました。内服後少し会話をして、口腔ケアをするよう声掛けをしてご自身でやられていました。それをしている最中に、Annnaさんが就寝の準備のためベッドカバーを外して、しっかりと寝れるように準備されていました。そして就寝の声掛けをして一旦退室されました。しかしキッチンに何度か来られていました。Annaさんによれば、キッチンの電気の明かりやミキサーする時の音等で気にされていると考えられるとのことです。

左：オーブンで焼いている。中：トッピング作り。右：トッピングをつけて冷ましてから切り分ける。

23:00　L様があまり寝付かずテレビをつけてしまうことがあるので、AnnaさんはTVのリモコンを一時的に回収していました。　そしてケーキが出来上がり、2Fと3Fに切り分けました。味見したところ、程良く甘くて美味しかったです！　その後はメニューを確認したりして、ジャガイモを剥いたり、ゆで卵を作ったりされていました。

　0:00　この時間はリビングにてコーヒーやティーやサンドイッチ等をとっていました。また2FのAdinaさん達とも合流しました。

左：タラとブロッコリーを混ぜたペースト。右：ソーセージとトマトクリームソースを混ぜたペースト。

スウェーデンでは良く召し上がれているとのこと。

 　0:30　この時間からは、お掃除です。キッチン・床・テーブル(これらは毎日掃除)に加えて、毎週火曜日には窓拭きを行っているとのことなので、それも行っていました。ちなみに月に１回(月初めの火曜日)に、飾られている美術品の掃除をされているそうです。

掃除の様子(綺麗に細かくやっていました！)

 　2:00　山下さんとチェンジしました。この時、3匹のワンちゃんは寝ておられました。一応犬の紹介をしておきます。

左：ベッツィ(♀,11才)。他の飼い主から買ったとのことです。

中：シグナ(♀,7才,ペッツィの娘)。

右：フォクシィ(♀,3才,シグナの娘)

この3匹の犬とも、セラピードッグの研修を受けているとのことです。スウェーデンでは、ナーシングホームや病院で日中の3時間だけセラピードッグがいるところもあれば、夜中にセラピードッグがいるところもあるみたいです。しかし本来セラピードッグの役割は、入居者様を落ち着かせる役割やリハビリの役割を持っていますが、今回の施設ではあまりそういう役割を果たしていなく、リビングのソファーで穏やかに眠られていました。でもAdinaさんからの説明で、「以前いた入居者さんで、ベッドの上に乗った犬を撫でていて落ち着かれた」ということはあったそうです。

リビングのソファーで眠られています。

この時間にY様とZ様の体位交換をしに行きました。2Fユニットでは夜間は1Fにいらっしゃる入居者様の対応も行っています。その後、ランドリー室にて洗濯・乾燥した衣類を取り出して、ユニットごとに仕分けをしていました。その最中にE様のNCが鳴り、Adinaさんは訪室し、お話をしてトイレ介助を行っていました。E様は夜間帯、2回程NCで職員を呼んでトイレに行かれるとのことです。ちなみにNCを持っているのはE様だけです。何という・・・少なさ。入居者様の安否確認も、自分達が施設でやっている回数より少ないです。体位交換は2～3時間に1回行っているとのことです。そしてここから5時まではやることがなく、犬と一緒に過ごすという・・・日本では考えられない光景です。
　5:00頃　朝食の準備をして、Z様の居室に訪室してベッド上で食事介助を実施しました。その後に、そのZ様とY様の体位変換をして2Fユニットに戻りました。
　

Z様の朝食(セモリナという人口穀物と牛乳を混ぜて沸騰させたスムージーみたいな物。

食べやすく飲みやすい。これに砂糖とシナモンをつけて提供している.

6:00頃　A様を起こしてトイレに誘導し、夜用パットを外してリハパンを履いていただきました。そして再度入床し、一旦退室しました。
　6:10　C様の居室に訪室してベッド上で、先程提供していたのと同じものを食事介助にて提供しました。
　7:00　早番職員と申し送りを行い、夜勤終了。ちなみにこの日は、6週に1回のスタッフミーティングがあるみたいです。13:30頃～16:00頃まで職員間でケアの見直しを行っているそうです。
　以上で、今日の夜勤は終わりました。今回あまりワンちゃんの役割を果たしている様子を見ることができませんでしたが、色々な発見ができたのかなと思います。夜間帯はすごく穏やかでありました。何よりも感じたことは、決められたルーティンを行うだけでなく、入居者様1人1人しっかりと接していることでした。ちょうど自分が出国前に色々な悩みや考え等を整理していたこともありましたので、これまで自分が感じてきたことをまとめて、明日、SQCの「イトウユウコ」さん(エミルさんではなく)が来所されるので、施設の職員方に色々と聞いていきたいと思います！
吉見




山下です。今日は１回だけの夜勤研修です。20：45～7：15のシフトです。
まずは2Fユニット、担当職員はアディーナさんと３匹の犬たちです（笑）。３匹の犬たちはもうイビキをかいてソファーで寝ていました。時々、のどが渇くようでムクっと起きてキッチンに水を飲みにいきます。癒されるな～。

一緒に夜勤です。

飼い主の職員アディーナさん

重なって寝てみたり。

イビキをかいたり。

アディーナさんと巡回から始まります。巡回と言っても３名で、皆さん寝ています。
21時M様の声がします。「ドリンクちょうだい！」と。
30分後また声がします。「食べ物ちょうだい！」。
22時を過ぎると、M様が部屋から出て来ました。「お腹すいた～！」。あら～・・（笑）
犬のフォクシーがM様の足元にのっそりと歩いてきましたが、M様は驚く様子もなくいつもの光景のようです。
「彼女は毎晩、2つのサンドイッチと果物を手に入れます。彼女はいつも来て、もっとお願いします。」とアディーナさんは教えてくれました。M様は食べ物の代わりに眠剤を服用され休みました。

ゆったりとした静かな夜です。

いつもキャンドルが灯してあるリビング

日本ではこの時間何をしているだろうと、ふっと思い浮かべました。そうそう、記録をしている頃かな。日本の夜勤はなんであんなにあわただしいのだろうと思います。

そして、２度目の巡回。巡回が終わると明日のランチの下ごしらえにじゃがいもの皮をむきます。あとは床掃除です。
「M様寝たね。朝は何時に起きるの？」とアディーナさんに尋ねると、「私たち達が帰ったあと。」とのこと。ずいぶんゆっくりと寝ていられるんですね。

何時に起きて、何時に朝食をとるかは「自己決定」です。認知症の方にとっては大切なことだと思います。

2時になり吉見くんとフロアの交代です。次は3Fのアンナさんに担当してもらいます。
突然、E様の部屋から奇声が聞こえます。どうしたのかアンナさんに尋ねると、「彼女は悪夢をみる」と。いつものことなんですね・・・

アンナさんは事務所に向かい、「R様のドキュメントを入れる。」とパソコン入力を始めました。何があったのか尋ねると、「彼は長い間、咳をしていた。」と言います。
記録は特変だけを入力しているそうです。

記録中の職員アンナさん

4時過ぎ、巡回に行きT様がソファーに座っていました。「彼は早く寝るから、早く目が覚める。」とアンナさんは言い、T様に牛乳を届け少しの間たわいもない会話をして笑っていました。そして、T様は私に気が付き、いつものように笑顔を向けてくれます。
次にM様の部屋へ。彼はまだ寝ていて、アンナさんは空のワイングラスを回収してきました。「彼はワインとジュースの違いを味わえない。彼はいつもジュースをワインだと思っている。」そういえば、日中でもワインを飲んでいるかのように美味しそうに飲むM様の姿を思い出しました。

アンナさんに質問しました。
Q「スウェーデンの方ですか？」
A.「西アフリカ出身です。」
Q.「この仕事は好きですか？」
A.「はい。たくさん。時々疲れることがありますが、私はこの仕事が好きです。私はここで18年間働いています。来た当初は掃除係でした。」
Q.「スウェーデン語はどうやって勉強したの？」
A.「学校に行って。ここに来た時は無料でスウェーデン語が学べました。」

夜勤専従で働いているアディーナさんとアンナさん、入居者様との信頼関係は厚いものを感じました。

排泄、体交・・だけをやってればいいというわけでもない、入居者様と時間を共有し、一緒に笑い、一緒に会話をし、一緒に過ごす・・そんな当たり前の日常がケアだと思えるし、大切なんだと感じさせてくれる夜勤でした。
そして、この夜勤中BPSD(周辺症状）でケアに時間を要する方がいませんでした。それは、普段から接しているアディーナさんやアンナさんがきちんと入居者様と向い合い、個別ケアをしているからだと思います。
ひとりの人として対応し、ひとりの人として分かり合う、そんなスウェーデンのケア＝SIÖBERGA GÅRDのケアが私は大好きです。

アンナさんは西アフリカ出身！

癒してくれて、ありがとう！

この静かな空間で、そういう思いにさせてくれた、優しいアディーナさん、アンナさんの対応に感謝します。そして、3匹のかわいい犬、ベッツイ、シグナ、フォクシー、ありがとう！忘れないからね！

今日という日にも、感謝して。
山下